
訪日外国人増加に伴い、観光客に高額料金を検討する動きが広がる
日本国内で二重価格制度が検討される背景
2024年上半期、日本には過去最高の1,778万人の外国人観光客が訪れ、その多くが韓国、中国、台湾、アメリカからの旅行者でした。この急増する訪日観光客の影響を受けて、国内のビジネスが外国人観光客向けに価格を引き上げる「二重価格制度」を検討する動きが広がっています。
特に北海道観光機構の代表は、地元住民向けにより安い価格設定を行うべきだと提案しています。美しい自然や冬のリゾートで知られる北海道では、外国人観光客が多く訪れる中、地元の人々が人気の観光地に足を運べるように、価格設定に差をつけることを求めているとのことです。今秋には、二重価格の試験導入が予定されていると報じられました。
各地で進む外国人向け価格の引き上げ
西日本の姫路市でも、世界遺産に登録されている姫路城の入場料を外国人向けに大幅に引き上げることが検討されています。現在、大人の入場料は1,000円ですが、姫路市長の清本英康氏は、外国人観光客には約4倍の3,000円を設定し、地元住民には500円にする考えを示しました。観光客の急増により、城の保存に影響が出る可能性があることを理由に挙げています。
さらに、大阪府でも過剰な観光客による「オーバーツーリズム」対策として、外国人観光客に料金を課す案が検討されていますが、2025年に開催される大阪万博を前に、反対の声も上がっています。
賛否両論の中、二重価格制度の導入が進む
温泉施設などでは、これまでも地元住民向けに割引を提供する二重価格制度が長く存在していましたが、外国人観光客に対して適用する動きはまだ少ないものの、徐々に広がっています。たとえば、東京にある海鮮レストラン「玉手箱」では、外国人観光客には7,678円、地元住民には6,578円という価格設定で提供しています。レストランのオーナーは、外国人対応に必要なコストを反映したものだと説明しています。
また、ロイヤルティマーケティング社が行った調査では、1,200人のうち60%以上が外国人観光客向けに別料金を設定することに賛成していることが明らかになりました。
観光業界の課題とこれからの対策
パンデミックが終息した後、日本には多くの観光客が訪れ、その対応に苦慮する声も少なくありません。富士山の撮影スポットでは、マナーの悪い外国人観光客のために巨大な障壁が設置される予定であるほか、一部の自治体では登山料金を導入し、無謀な登山を防ぐための対策が講じられています。
日本が観光客の急増に対応するためには、二重価格制度の導入など、柔軟な施策が今後も求められるでしょう。しかし、このような制度が「外国人差別」と捉えられる危険性もあるため、導入には慎重さが求められています。
コメントを送信